日本人として
私は日本人として日本で生まれました。
そこはアメリカに戦争で負けて、アメリカの軍隊が駐留している不思議な独立国でした。
原子力爆弾を世界で唯一、しかも2発も落とされた被爆国でした。
散々な負け方をしたので、戦争をしないことを憲法で誓う国になりました。
日本人は暗い、はっきりしない、おどおどしてる、つまらない、と言われて育ちました。
アメリカ人は明るい、はっきりしている、堂々としている、楽しい、と言われて育ちました。
日本人は不格好だが、時間に厳格で勤勉だと教わりました。
外国人は綺麗だが、時間に曖昧で怠惰だと教わりました。
大人になる頃には、日本は世界一の経済大国と言われていました。
世界中の高級品を買い漁る日本人を、外国人が嫌な顔をして見過ごしていました。
間もなく、日本の景気は悪くなりました。
実体のないものに利益を生ませた当然の成り行きでした。
地震で原子力発電所が爆発したので、原子力発電を止めようとほとんどの日本国民が誓いました。
間もなく、政府と大企業は、原子力発電は安全で効率的だといって、再び自国や外国に売り込み始めました。
今では、日本人は親切で優秀で選ばれた民だという声を聞くようになりました。
戦争をやってもいい国に変えられ始めました。
世界の大企業のための貿易条約が中身も知らされずに秘密交渉されています。
日本の空にアメリカ軍の飛行機が頻繁に化学薬品を散布していることが明白なのに、政府は何も国民に知らせてくれません。
政府は大企業のために一所懸命働くようになりましたが、それは庶民からの搾取という犠牲を強いることでした。
世界で起こっている事件を、味方の都合のいいようにだけしか報道しなくなりました。
誰が味方で誰が敵なのか、何が本当で何が嘘なのか分からない疑心暗鬼にさせられてしまいました。